紅色のあいつ/愛心
 
私のクラスには、紅色のあいつがいる。

真赤に染めた髪
赤い唇と頬
そして左手の小指には
外れることのない
紅色の指輪がはまっている。

あいつは席順にかまわず
いつも窓側に座り、一日中眠っている。
昼休みのときだけ姿を消し
帰る時間までまた眠る。

先生はあいつを起こそうとはしない。
あいつがいないかのように、平然と授業をする。
クラスメイトもあいつに寄り付こうとはしない。



理由は

あいつがいないからだ。


あいつは私がいじめてから
自分を失くした。
謝って仲直りしたつもりだったけど
あいつは人との接し方を忘れてしまったのだ。

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