風が唄っていた/ダーザイン
使っていない電話器が時々鳴る
コードは何処にも差してない
その受話器が持っていた番号は
もう何処にもないんだよ
遠い昔つながっていた
あなたの電話番号も
もう何処にもないんだよ
あなたが消えた夜の果てにも
光の粒子が寄り集い 今は
幾つもの明かりが灯っている
銀の砂粒
金の砂
青い炎の衣をまとった
星の子供ら
こんな夜にはベッドを抜け出し
コートのポッケにウイスキー入れて
丘の上まで行ってみようか
とっても寒い夜だから
コートの襟立てマフラー巻いて
冬枯れの野を
ゆっくり ゆっくり歩いていこう
空っぽの電話が再び鳴る
受話器を取ると
どこか
[次のページ]
戻る 編 削 Point(33)