蛙と首輪(短調)/R
の嘘が働いている。
井戸の中。ちっぽけな僕はね、壁を登りだした。
(そう、僕は知っているつもりでいたんだ。なんという罪だろう)
壁は果てしなく終わりがなく高く、出口の光に近づく程に蛙の落ちる痛みも増すのだけれど。
僕は気づいたんだ。首輪に繋がれた王様なんて酷く残酷で滑稽なものだったと。
(そう、僕はゲージの中で世界の全てを知っている気でいたのだ。なんという傲慢)
だからね、僕は。
(僕が唯一無二じゃなくなってしまっても、無知の痛みよりは刹那的なものだと思うんだ。
この屈曲した王国は楽園だったけれど、いつまでもこのままじゃいられない)
戻る 編 削 Point(0)