猫祭りの宵/R
 
猫祭りの宵。
間延びした鳴き声で君はね。
確かなように感じる(きっと、君は酔っているんだ)言葉をほしがるの。

町並みは絵のようで、月も緑がかって酷く大きくゆがんでいる。
ほら、月に祈るよ。
小さな存在だからこその傲慢な全能感をね。
(それは自覚しない優性種であるという下劣な思想。)
けれど今はこの月光の影にすら隠れて見えないよ。
君の手を離さないようにしなくちゃ。僕は自信がなくなってしまう。

ほら、宵越し、ちやりほやりとね、彼らは叫ぶの。
紡ぐ言葉は裏打ちされたもの。既成の枠。
ほら、宵闇に、ちやりほやりとね、僕らも混じるの。
盲目ゆえの傲慢な全能感をね、いつまで保てるかは。

君は長い毛並みを膨らませて今宵に混じるよ。
長く伸びるは月の影か体か。
僕は恋をしているよ。息ができなくなってしまう。


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