眠ル三日月 泳グ魚/
緋月 衣瑠香
宝石を散りばめたような闇
この世で一番大きい水溜り
そこには彼らがいることが
絶対であって
世界の暗黙の了解であった
でも
時にはその場から消えたい
と
訴えているのを
私は知っていた
だから
今日だけ私が許してあげる
さあ 眠りなさい
寝不足の三日月よ
波打つ海の内で
さあ 行きなさい
迷える魚よ
輝く宇宙の彼方へ
どうかその時が幸福であるように
と
願いながら
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