窓辺の花/服部 剛
ドレスを着た娘と腕を組み
( 新郎が待つ赤い絨毯(じゅうたん)の上で
( 大きい顔を腕で覆い
( おいおいと子供のように泣いた
( あの記念日を忘れた振りで
絵具の匂いが薄まった部屋に
再び窓辺から日が射す
白い机の上に置かれた
小さい植木鉢に咲く
紅い花は
緑の葉の両手を広げて唄いはじめ
傍らの写真立てのなか
七五三のお祝いで紅い着物を着た孫は
遠い雪国の神社の門前に立ち
少し年老いた実家のじいじに
無邪気で小さいピースサインを
今日も届ける
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