小詩集【レトロな猛毒】side.C/千波 一也
 
 なにも知らない者だけに、
 そら


満たされない音色をつぶやけば
こころも震えて
ひとつに
消えて


しずく、
こぼれる間際に真冬を聴かせた


 頑なに鎖をむすぶ、はな

 捨て去るたびに降りそそぐ、
 すな


そっと滅びたら
やさしい傾斜のはじまりのとき

誕生は底から、


 不思議を揺れて、かぜ

 実るともなくあこがれて、
 つき


息吹、
氷をわたり氷へむかう

咲き誇ることのうすくれないに




八、ハニー・ステップ


すきなままでいいと思う
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