蝉/海月
だった
君は僕の目の前から遠くに飛び立った
慌て後を追おうとして僕も飛び立った
蝉は陽射しの当たらない世界で陽射しを浴びる日を夢見る
微かに遺伝子の中に存在する
陽射しの眩しさと独特の匂いに軽い眩暈を覚え
現実と理想の狭間で生きて
何もかもが区別できなくなっていた
羽の持たない僕は空を飛べず
地面に叩きつけられた
僕に物足らないのはネジじゃなく羽だった
気づくのが遅かった
地面の上で僕は生涯を終える
無抵抗な蝉(僕)を人々は踏みつける
僕がしてきたものが其処にあった
戻る 編 削 Point(0)