問い風/海月
三月の暖かかくも切ない風
使い古し色褪せた制服が桜を覆い揺れる
今は未だ
一月の冷たくも優しい風
残された時を躊躇うことなく楽しんでいる
ぷかぷかと浮かんでいても
何れは陸地が目に入り
必死に遠くに泳いでも
もう、手遅れで
潮の流れに身を任すだけ
何処かでは命の明かりが灯り
何処かでは命の明かりが消え
それは夕焼けから深夜になる
刻の流れに似ていた
暗くなり家庭には明かりが灯り
眠る時間には明かりは消える
嘘を重ねて、重ねて
一番脆い所を触れられ時に
積み木みたいに
砂の城みたいに
上の方と下の方から崩れ落ちる
家庭と仕事に境界線を引く
それは自分自身を見失わない為に
家庭に仕事は持ち込まず
今の所は上手くやっている
何回も騙された方が落ち着く
落ち着くと言うよりも諦めて
平常心を装っているだけじゃない?
問いただす言葉は何処かに流れた
あの日の風は自分自身の問い掛けかもしれない
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