気にしないから好きにしなさい /みへき渉
 
まだ幼かったころ、危ないところへ行ったら駄目と怒られた。
あの丘も、あの川も。


分別もついたころ、僕は丘へも川へも行った。
こっそりと。
母さんは、 もう 気にしないから好きにしなさい と言った。


僕は毎日陽が落ちるまで泥だらけで遊んで
ある日、すべって頭を強く打った。


今ならわかる。
母さんは、 もう「あなたのことなど」気にしない と言ったんだね。
でも、行きたかったんだ。
行かずにおれなかったんだよ。

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