詩論/黒髪
わたしは、萩原朔太郎の詩語の使い方が、人工的で、作り物に思えるのです。彼の感情自体が、大げさで、美しいところがなく思えるのです。もっと長く生きていれば、独自の詩境を切り開けたかもしれませんが、運がなかったといえるでしょう。
谷川俊太郎の詩は、やたらに淡白で、作り物めいた印象を受けます。言葉遣いに誠実さがなく、己のキャラクターをより前面に押し出している感じ。生きている、ということも、そこからどう自己を展開していくかということに向かず、命のきらめき、陽光が美しい、といったような、子どもでも感じるようなことを再発見せよと言っているだけに思える。つまり、生産的でないのです。ただ、晩年において、かれは
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