読むことのスリル──ひだかたけし小論(7)/朧月夜
 
第六章……詩との対決


 さて、ここまで書き進めてきて、読者諸氏はこの小論に何を見出したでしょうか? ひだかたけし氏の作品の卓越性でしょうか、あるいは詩というものの歴史的な側面でしょうか、それともわたし自身の傲慢さでしょうか。わたしはこの小論の執筆を任されたとき、正直戸惑いました。現代に生きる詩人とは、生身の人間そのものであることに他ならないからです。
 ですが、文学の世界では人間が人間を評するという傲慢が許されてきました。このような態度は、一個の生きた人間を商品という無機物に還元する試みに過ぎないでしょう。そのことが過大評価されるのは、なぜか? その答えのひとつは、「人間とは一
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