集合的無意識の真の意義/朧月夜
 
 集合的無意識というと、どうしてもオカルティックな面やファンタジックな面だけに焦点が当てられて強調されやすい。でも、ここではむしろ種の保存という観点から、人間の持つ無意識というものを考えてみたいと思う。
 人間というものは──もちろん、あくまでも私自身が考える仮説にすぎないのだが──その総体として、無意識的に種の存続を行うための計算を常にしているのだろうと思う。でなければ、キューバ危機のような危機があのように鮮やかに人の手で解決される、ということが起こり得る、ということの理由を与え難くなってしまう。
 なぜその瞬間には善になれるのか、なぜその瞬間には妥協を許さない鬼になれるのか、といったことを
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