尺八老人と漬物の恋/道草次郎
 
抹茶色の外郎のような色の池の水を背景に、若葉のもみじがソメイヨシノの木陰でいくらか涼しい風に小刻みにわらっている。

おれは蟻やら小枝やらがあるくちかかりのベンチに身をもたせ、とにかく西の方までずっと笑いっ放しの抹茶色の外郎のさざめきの海をみるとなくみている。

ヒノヒカリというものはおよそ1億と5000億キロという、いちてんもん単位というおもしろい尺度のむこうからとどいたものなのです。YouTubeの関連動画でかってにあがってきたベテルギウスに呑み込まれんとする太陽の図を、ふとおもいだします。するってえとこの眼前の外郎も、ベテルギウスの公転惑星でならなんびゃくばい、なんぜんばいってえヤン
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