明日、世界が終わる/そらの珊瑚
白夜はいつも寝不足になる。
夜になっても沈まない太陽のせいだ。こんなあたしでも人類の、はしくれ。太陽の光に含まれる活動エネルギーが、自律神経を乱れさせてしまうのだろう。
「おはよう、リンダ。また眠れなかったの?」
「おはよう。母さんはよく眠れたみたいね」
「それは私が年老いた証拠よ。睡眠と死は似ているの。肉体が死に近づいた分、夜はぐっすり。そして遠くない将来、永遠に目覚めない朝が来る」
「やめてよ。そんな話、聞きたくない」
「いいえ。ちゃんと聞いてちょうだい。大事なことよ。そしたらあなたはひとりぼっち。ねえ、リンダ。あなたは、もう十八歳。クローニングしてもいい年だわ。大丈夫、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)