On the Hill/墨晶
「閉じこもっているべきではない。もっと外出すべきだ」と云うのがお姉ちゃんの意見なんだけど、ぼくの散歩はいつだって大変だ。
ビルを壊すから尻尾を振り回してはいけないこと。子供や老人を踏み潰すからちゃんと下を見て歩くこと。いちいちビックリして眼から光線を出さないこと。あくびとともに焔を吐かないこと。
丘の上で、やっとぼくたちは、寝っ転がってホッとするんだ。
「お姉ちゃん、世界がすべてどこまでも、こんな緑の丘だったらいいのにな」
ちょこんと僕の肩の上でハーモニカを吹いていたお姉ちゃんは云う。
「みんながアンタのこと、悪い子って云ってるわ。
でも、あたしがアンタを
守る」
お姉ちゃんの髪の毛が風になびいてる。
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