Miz 12/深水遊脚
「訓練生が訓練について行けなくなったとき、何が起こるか知ってる?」
「ここでのことに限って、訓練生の記憶が消える、だろ。」
「表向きはそうね。ここを離脱すればここの記憶は自然に消える。もちろん何者かが消しているからそうなるの。誰が消しているか、ご存じ?」
「より高次な意識体で、そいつには個性がない。そう聞いているぞ。」
「納得してる?」
「…………」
疑いを挟むのは自由なはずだった。しかし確かに疑わないように、それについて考えることを避けていた。春江の言葉はそこを突いた。
「あなたが私のこと嫌いでも構わないけれど、政志の前にレグラスと交信していたのは私。それなりの危機感の表明
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