岸田劉生「写実論」を読み解いて考える、批評とは何か/中川達矢
 
※授業のレポートで書いたものです。少々わかりづらい文脈があるかと思いますが、ご容赦ください。

0.はじめに
 写実とは何か。
 そもそも写実的な絵を私は好まない。いや、今となっては、その美がよりわかるようになったと言えるだろうか。写実的な絵は、オリジナルとなる風景をただ写し取っただけのものであり、そのどこに感動を覚えればいいのか、という戸惑いがあった。しかし、写実的な絵の醍醐味は、そのオリジナルである風景とコピーとも言える作品の比較によって考えるのではないのだろう。いくらコピーである作品を見たところで、そのオリジナルを知らなければ、その比較ができない。だが、そのオリジナルを知らなくとも、
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