ニシヒガシと親子/はるな
ニシヒガシの親子は木の根っこにつかまってぶるぶると震えていました。
寒い、寒いよるです。
ニシヒガシの親子の薄灰色の毛は、どおん、という大砲の音が、木の根をつたってくるたびにかすかに立ち上がります。本来であれば、ニシヒガシの毛は青いくらいにまっ白なのですが、ここはそのためにはあまりに寒く、また、親子は飢えていました。
どおん、という、大砲の音は、山のしたの親子の耳にも、もちろん届いていました。
そのとき、親子はもう、最後のスープを飲み干してしまって、布きれにくるまって寝ていました。
ま上には、砂糖壺をけとばしたような、さらさらとした星空です。それはちょうど、ニシヒガシのほんらいの
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