0/000/はるな
 
0/0 あの日、なめらかな布をいくつもくぐって、白いもののなかで、わたしの体はぴったりと「幸福のかたち」のなかへおさめられていた。幸福、ではなくて、幸福のかたちのなかへ。微笑んだり、笑ったりするすべてに、誰も、わたし自身も、触れられなかった。それはかたちのなかへおさめられてしまっていたから。
思い出せることは、白いお皿、13センチヒールのエナメル・パンプス、禿げたマニキュア、かちかちにかためられた巻き毛、笑い顔たち。
いったい何が違うんだろう。制服に、決められたローファーを履いて、木の椅子へすわらされていた中学生のころと、それはいったい何が違うっていうんだろう。

0/31 何度めかのこの
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