あずきの恋人 (連載?)/たま
 
(わたしは猫になって、イチローに会いに行ったの)

 
 きょうの午後、鈴木さんに出会った公園にようやくたどり着いた。
 この公園のどこかに、イチローがいるはずだけれど、わたしの目に猫の影は映らなかった。青い外灯の灯りの下では、コガネムシが二匹、ぶんぶん、羽根を鳴らして飛んでいる。
 イチロー……。どこにいるの? ねぇ、わたしよ……。
 あかるい夜空に、星がひとつ流れた。
「ぼくはここにいるよ。」
 え……、どこ?
 ベンチのうしろのフェンスの際に、スチール製のおおきな物置があった。イチローはその屋根のうえにいて、すばやく地面に飛びおりると、ふたたび、ジャンプしてベンチの背もたれ
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