あずきの恋人 (連載?)/たま
わたしは二階の部屋にあがって、鈴木さんのガラス玉を手にとって、しばらくながめていた。どこかでみかけた夜店の、輪投げの景品みたいな、ただのガラス玉だった。
だいじょうぶかなぁ、なんだかニセモノみたいだけど……。
その日は、おとうさんの帰りがおそい日だったから、六時すぎには夕飯を食べることになった。わたしはいつも夕飯のあと、テレビをみたり、ゲームをしたり、たまに、おばあちゃんの足をもんであげたりして、十時すぎには寝ることにしている。
鈴木さんとの約束は十時だったから、今夜はすこし早めに、じぶんの部屋にもどってガラス玉をにぎりしめて、鈴木さんの魔法がとどくのを待たなければいけない。
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