方言について/小川 葉
都会で暮らしていた時、紹介されたある人が、秋田出身者と聞いて、喜び勇み、その人に秋田訛って話しかけてみたものの、ショウジュンゴで返された時、やだあたしひとりで秋田訛ってばかみたい、ということが、いくつかあったものである。
私はたいへん悲しくなって「裏切り者」という、情念さえ抱き、ひとり取り残され、そう思っていたものである。
ところが今では、故郷の県南農村地区の小学生でさえ、今やショウジュンゴで話すのだと聞く。
方言とはいったい、なんだったのだろうか。
私もまた、仙台という都会で二十年間を過ごしながら、仙台訛りという方言を会得しつつも、仙台は都会なのだから、そこで都会的なショウジ
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