あずきの恋人 (連載?)/たま
(ようやく、外山先生の絵本教室が始まった……)
鈴木さんの絵はおそろしくヘタだった。
画用紙だと思った紙はよくみると、カレンダーの裏紙で、そこにクレヨンと水彩絵の具でわけのわからない絵を何枚も描いて、机のうえにひろげてあった。
「おっ、たくさん描けましたねぇ。じゃあ、鈴木さん、一枚目はどれですか?」
「はい。これです。」
銀色のおおきな渦巻きが、まっ黒な背景のなかに描かれていた。
「うん? これはなんですか……。」
「銀河系だよ。」
「なるほど、宇宙に浮かぶ銀河系ですね。」
とてもそんなふうにはみえなかった。どうみても、蚊とり線香だとわたしは思った。
二枚目も
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