あずきの恋人 (連載?)/たま
 
「あずきー、ねぇ、あずきー。」
 おかあさんがわたしを呼んでいる。
 わたしはいま、絵本を描いているところだから、おかあさんの用事はなにもできないことを知っているはずなのに……。
 ぱた、ぱた、ぱた……、って。
 スリッパの音がして、おかあさんが二階にやってきた。
「あずきー、おかあさんねぇ、これからおばあちゃんをお医者さんに連れていくから、下の部屋で留守番しててちょうだい。ね、わかった?」
「えっ……、おばあちゃんどこかわるいの?」 
「うん、ちょっと血圧がたかいみたいなの。帰りはおそくならないと思うけど、おとうさんにも電話しとくから、あずきはお留守番してて。ね、たのんだわよ。」
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