雨、犬、つむじ、台所のこと/はるな
 

昼間、つめたい雨がすこし降っていた。音もしないでしずかに、「長く」というかんじで降ってくる雨。

母親になった友人と、これから母親になる友人と、母親になる予定のない友人とわたしとで会った。生まれて一か月とすこしの小さな生き物と。
やわらかく、はりつめたような薄い皮膚。まるでほんとうとは思えないほど小さな足の指の一本ずつに、一枚ずつきちんと爪がのっていて、それは奇跡みたいだなと思った。あのやわらかな頭蓋骨。秘密をかくすように渦巻く愛らしいつむじ。


子どもはすぐにでも欲しいと思っている。たくさん欲しい。そのつもりでいるけれど、できないのだ。もしも子どもができないのだとしたらどうする
[次のページ]
戻る   Point(3)