日曜日の夜/はるな
安いワインに合うつまみばかりくわしい男のひとのことを好きだった。朝といっても良いくらいの深夜にいつもちがう場所でお酒を飲みながら、ぽつりとそういうことをつぶやくので一度など缶詰と大きなライターをコンビニエンスストアーで買って道ばたで食べた。ずいぶん辛抱強く缶詰を炙っているので、夜が明けきってしまって。そのとき食べた缶詰が、いままで食べた魚介のなかで一番感動したものだ。
人の通らないしずかな道、コンビニエンスストアーの明かりがだんだんと目立たなくなってゆくさま、場違いに香ばしい缶詰の匂い。
とくべつ酔っぱらったときにだけ煙草を吸いたがるひとで、それも、一本ちょうだい、と言ってすぐに火をつけて
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