霖雨/マーブル
すっかり途方に暮れてしまっていた。
もうかれこれ40分は白い空白を眺めて、おもむろに煙草を三本程吸う。
深夜三時の深海。外は秋雨の霖雨の悲につつみこまれ、鉄は錆び濡れているのかと一度、哀感するのだ。
私は大きく息を吸って、ちいさな弱々しい溜息をついた。
それから不意に、雨粒がひとしずくかふたしずくか
ベランダに飾ってあるスミレの青紫のしなやかな花びらに、付着しているのを、想像してみる。
そうすると幾分か、冷静で不規則にきこえる雨音に、微熱を覚え始める。
昨日の夕方頃から、熱をおびていた額は今は生温く、それは些か私の存在意識へと導くには手っ取り早い方法だった。
薄々と幻のように消
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