つぶて/はるな
信じられない、と言うのが聞こえたあとにもう一度信じられない、と言うのが聞こえたので私は礫(つぶて)になってしまった。弾けて路傍。鮮やかなつま先であなたが私を蹴り上げる。信じられないと言う声がまだ胸で渦巻いていくらでも弾けた。
なつかしい歌を聞いた。それから川の近くに泊った。春には二分ほど立ち止まって桜をみあげた。いくら思い返しても思い出はその三つしかなかった。どんなにこまかく辿ってみても三つだった。
汗はいつも気温のせいではなかった。暗いのは夜のせいではなく目を閉じるからだった。温度は季節を裏切り続けて夏へ凍え冬に沸騰した。そのようにでたらめな時間がどこかへ着地するわけなどなかったのだ
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