文学メモ/るか
理性的なものと感性的なものとは、インタラクティブな関係にありうるものと考えられるが、伝統的には、感性は理性の下位にあって、理性に従属すべきものと考えられてきた。意識と無意識もまた、同様の関係にあるものとみなすことが可能だ。そして、芸術作品もしくはハイカルチャーに分類されてしかるべき文学は、勿論、理性や意識を通じて、感性や無意識にまで働きかけることが可能な手段であると目されてきたものと云って、そう大過ないように私には思われる。そこで、比較的注目をされてこなかったように思われる理性から感性への方向性、則ち、読み行為というものが、じつは文学の中心過程をなすように私は考えている。作品の完成が作者の自己充足
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