渋谷の2Fで/番田
信号がひっきりなしに変わっている渋谷の交差点。人が我を忘れたように通りを過ぎていくのが見えた。スターバックスは、足の踏み場もないくらいに混み合っていた。誰かの結婚式から帰ってきたような身なりの人たち。周りでは、学校や仕事場の友達の名前が繰り返されている。携帯では現場の人との専門用語の言葉がやりとりされていた。ため息をつく者もいないし、奇声の発せられることもそこではない。交差点はまた青に変わっていた。タクシーや小型のトラックがくまなく行き交っている。そして、太陽の光が鋭く差していた。味気のない残像を残して、アルミの上をスライドしていくだけの光たち。
僕には何も夢などは無く、開いた雑誌の
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