或る愛の話/済谷川蛍
いつだってそうだった。いや、まだ生涯に2度目だが、3度も4度も変わらない。
俺が30歳のときの夏。スマホの出会い系サイトで知り合った高校1年生に恋をした。よくある恋愛小説ならこれは幸せなカップルの物語か、美しい別れへの序曲だ。しかし主人公が俺なら、誰が考えたって破綻へのカウントダウンだ。ただ俺だけが、これから数日間、夢を見続けるのだ。
醒めたほうがいい夢がある。特に俺の夢は全部そうだ。その子の写メはどんな絵画よりも真実らしく、どんな日常よりも美しかった。当然寝言である。いや、でも彼女は実際可愛らしかった。それは事実だ。
清純そうな彼女は顔に似合わず、中学の頃からだいぶ同級生の男に遊ば
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)