風のふく場所/はるな
 


風のふく場所まで、手をとって、登って。いつぶりかわからないくらいになつかしい場所へ。なんにも信じていなかった。予想できなかったというべきかしら。なにひとつ。
それでも、「いつか」はこうしてやって来た。

やって来て、去っていく。

そればかりだ。良いのか悪いのかわからず。何が正しいのかわからないままで、正しくありたいと思いながら。

やって来て、去っていく。

時間や物事や、ひとびとが。
わたしもあるいは、だれかにとってはそのような一粒なのだろう。やって来て去っていく、他人としてのわたし。それは、少しでも正しさを持っていましたか。聞くことはできない。

死ねずにいる。ほんらいは死ぬべきの。
そのおもいはいつか風化するだろうか。どうしてみな、生きようとするのだろう。やって来て、去っていくだけなのに。えたいの知れない、時間というもののなかで。
そう考えて、ふと、横をむけば、
ひかりのかげに隠れて、表情のみえないあなたが、あんまりにも潔く笑ったので、
夢をみるように、それがわかった。

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