御伽話その3〜俺はプリンス〜/永乃ゆち
「俺はプリンス」
俺はいつだって
軽やかに舞って
道ゆく人達を魅了する事ができる。
泣いてるお子様も
ふさぎ込みがちな御老人も。
みんな俺の舞に見惚れ足を止める。
たくさんの人に囲まれて舞うのは
それは気持ちの良いものだった。
俺は町のプリンス。
誰もが憧れ
誰もが虜。
広場はパレードの海。
路地裏では怪しい“商売”。
俺はその全てを知ることが出来た。
神出鬼没。
風のように舞いながら
いつだって自由。
俺は町のプリンスだから。
ただ一つだけ、気になる事がある。
俺の舞を遠巻
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)