ボクのマスターベーション(1)/花形新次
 
ボクが文章を書こうと思う契機は単純なものです。
大概は、ボクの外側に転がっている、ちょうどそこにあるもの、今流れている音楽、たまたま目に入った人や景色といったものが発端になっていて、ボクの内側に長い時間存在する心的な問題が契機になってということは殆どない。
そもそもボクには、書かなければならないことなど何もない。
人生上の問題なんて、偉い哲学者や文学者がとっくの昔にあらかた提起してくれているし、ボクが偉い人々に先んじて何か新しい問題を見つけ出すなんて、自分の能力を考えれば有り得ないことを重々承知しているから。
ボクには17歳になる自閉症の息子がいて、そのことが判明したときは人生上の大問題と
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