リュウグウノツカイ/済谷川蛍
 
 無国籍風な外観の遊園地。
 尖塔から垂れ下がった鶯色のジェットコースターのレールがコロシアム型の建物からはみ出す様に大きくカーブを描いている。
 入り口はエスカレーターになっていた。この地域は治安が悪いため両脇に警備員が立っている。左側の警備員はサナダムシ、右側はテズルモズルのようなグロテスクな姿態である。遊園地の壁沿いにはなぜかガンガゼが群れており、西日を受けて毒々しく照り輝いている。壁にはフジツボや気味の悪い海藻などが張り付いていていかにも磯臭そうだった。エスカレーターに乗ると警備員の触手が顔にまとわりついた。故意ではないのだろう。細い触手が千切れてまだ右肩のあたりでもぞもぞうごめいてい
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