メリー・ポピンズ/乾 加津也
好みの映画と心から感動する映画とは違う。
見たい映画といつ見たくなってもいいように、いつまでもそばに置いておきたい映画とは違う。
けれど、ボクにとってそれらをすべて凌駕するのが「メリー・ポピンズ」(ミュージカル風だよ)
ストーリーは単純だし、空想混じりだし、命をかけた信念などないし、
まじめなときにふざけているし、血縁の愛憎を裏返すとこんな感じなのかっていうドロドロの怨念もない。
行き場を失った現代の若者の葛藤でもないし、戦争が踏みにじる人権の痛みでもない。
宇宙人は来ないし、血は飛び散らない。
最後に大どんでん返しもないし、「だれも信頼してはいけない」わけでもない。
(おーい
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