いくつもの嘘を隠していた/ayano
 


「久しぶり」

「うん」



実家に帰ったら、従姉妹がいた。年下の俺は小さい頃から彼女と一緒に過ごしていた。毎年会っているものの、彼女の成長具合というか大人になる加減があきらかに女性的で、男として俺は彼女が綺麗になるのを遠くから見ていた。昔は従姉妹が結婚できないことを知らなかったから、こころから貴女に恋をしていても、何も言われなかった。でも、二十歳越え三十路越え互いに独身となると流石に不安になってくるってものだ。



「お前、恋人とかいないの?」

「恋人がいないお前には言われたく無い」

「俺みたいに仕事が恋人です、とか嫌だろ」

「嫌に決まってる。」
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