秋/はるな
 
ながくのばしたかみの毛を深い赤色に染めて、頬は日焼けしているんだけれど、蒼ざめて。
いつか会おうね、きっと会おうね、手を振って、見えなくなって、立ちつくして。
みんないってしまう。
みんな、来て、そして、どこかへいってしまう。

りんちゃん、夏には、海へ行って遊んだね。
汗をたくさんかいた。
手をつないで、水にはいって。
冷え切った店のなかで、ふるえて、熱くてうすいコーヒーを飲んで、笑ったね。
りんちゃん、春にも、たしか海へいったね。夏とはちがうところへ。
車のなかから眺めるだけで、空はうすい灰色で、わたしはりんちゃんの上着を借りた。
りんちゃん、冬には、どこへもいかず、ずっ
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