文化祭のアクリル板/番田 
 
冬の日の手は 素敵なテーブルを置いておけば、一言としても何も語らなかった。手をつなぐこともしないままに 水路のそばの道を語らずして、よく歩いたものだった。凍りそうな水には 凍り付くように冷たくて、小さな子供の声が 僅かに進んでいった。しばらく行くと、静かな音を立てながら塀の向こうから流れているのが 甲高く不規則に聞こえた。コンクリートのボールが叩く地面を、 まっすぐに響いていた音がした。

「最近家に帰るとポエムなんかをひとりで書いたりしているわ。」
彼女は次の角が近づいてくるとささやいた。
「ふうん、そう、今度見せてよ。」
と、答えた。
「そのうち、ね。」
と返すと、そばの水路を抜
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