夢の競馬場2/花形新次
日曜日の過ごし方
土曜日は、家電量販店での仕事(読んでいるうちに眠くてしようがなくなる小説のための自動ページめくり機売り場の店員)があって、僕は競馬場には行けない。だから、競馬場に行くのは決まって日曜日。独り身の僕には、よその家庭のように、競馬に行くのを止めるものはいない。日曜の朝は、第1レースの発走時刻10:00にあわせ隣町の逗子のアパートを8時にでて、鎌倉駅まで電車に乗る。日曜の鎌倉駅は、八幡宮方面へと流れる観光客と虹色の絵具競馬場方面へ流れる客とに別れるのだが、老人やアベックが多い八幡宮方面とは違い、競馬場方面に向かう人々は疲れた中年男性ばかりだ。僕もそのひとり。観光客やアベックと僕
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