「波の声をきいて」(4)/月乃助
夜のシフトのサーバー達と入れ替わりに、Sayoは店を出た。
週末のダウンタウンは、車の数がぐっと減っていて、それだけでも何かほっとする。ダウンタウンの西側には入り江があって、それに面する辺りは、隣国とのあいだを行き来するフェリーの埠頭と水上飛行機の発着場にもなっていて、煉瓦造りの背の低いショップが立ち並び夏の間は観光客で賑わう。それだから、Sayoは、いつも教会の前の通りを南に歩き、アパートへ向かう。
人通りのまばらなそれでも道を間違えたような観光客の姿がわずかに、閉店した人気のない靴屋の前を所在投げに歩いていた。
フィシャーマンズ・ウォーフで魚を買っていこうか。
部屋の冷蔵庫の
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