「あざらしの島」(1/3)/月乃助
いつの間にか海峡と陸を隔てる水平線は確かさを失い、靄の帯を海に広げていた。
海峡の向こうには岩肌をみせる山脈と、その手前には昔は燈台守が住んでいたという岩礁に見まがう小さな島があった。
今、その海峡の島には女がひとり、娘と住んでいる。
寝室一つの赤い屋根。木造の家は背の高い灯台を別にすれば唯一島にある建物だった。
サッカーのフィールド三面ほどの大きさと、女はその島の大きさを聞かれると言うことにしている。それは、島の端にいる娘の姿を見て、それくらいの広さだと思うからで、正確なところその島がどれくらいの大きさがあるのか、女は知りようもなかった。
潮が満ちれば小さく、潮が干けば大きく
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