ジェンガング/影山影司
胴体のまんなか、繰りぬかれた胸にはジェンガが積んである。人間とはそういう風に出来ている。例え服を着ていようと、裸体であろうと僕の視界では四角く切り取られた空間に、ゲーム途中のジェンガが屹立しているのだ。
ジェンガはオーソドックスな白っぽい木製のブロックで、ちょうど寿司のシャリをつまむような感じでプレイできる。
ジェンガのルールは簡単だ。3×3で組まれたブロックを抜き、タワーのてっぺんに継ぎ足していく。抜けなくなるまで、倒れるまで、ひたすら。ダイスもカードも、ランダムな要素は何一つ無い。あるのはプレイヤーの精神だ。
僕の趣味は、他人の胸のジェンガを眺めることだ。
胸のジェンガに
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