シャボン玉/id=5239
 
真ッ暗な夜道を車で遣り過ごしていると、夜空に白い物体が。
何だあはれと車を止め、フロントガラス越しに目を凝らすと、スーツ姿の男が宙に浮いていた。
白く見えたのはワイシャツ、靴下。其れよりも白い男の顔は、表情を認めるには遠すぎた。
自分が見聞きした空飛ぶ人間のポーズとは違い、腕や足をだらしなく広げ、下の様子を眺めている。

ふと視線を戻すと、車の横に紺色の和服を着た男が立っていた。
この男も空飛ぶワイシャツに気付いたようで、呆然と空を眺めている。
そして大きく口を開けると、飽きれるほど大きなシャボン玉を吐き出した。
男の顔はみるみる青ざめ、よいよ白くなると、シャボン玉の後を追うように
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