寒空のなか/
長谷川智子
私は
あまりの寒さに
洞穴で身をかがめていた
外の雪山の吹雪は鳴りやまず
待てど暮らせど帰れやしない
あてもなく途方に暮れかけていた頃
ようやく救助隊が駆けつけた
嬉しさよりも
すぐに見つけてくれなかった恨めしさが先に立ち
手を差しのべた隊員から目を逸らしてしまった
彼は何とも思わなかったように見えたが
ちらっと悲しそうな目をした
彼の背中におぶさって山を下っている間に
小声でつぶやいた
‘さっきは、ごめんなさい’
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