シウゾギトオ/木屋 亞万
満月の夜、
砂漠に笹が生えている
竹林か砂漠かわからぬ程に
笹が生えているけれど紛れも無い砂漠
笹のおかげか砂は風に大人しく
さらさらと流れ続けている
ややっ!
お月様がバランスを崩し
海に落ちてしまわれた
居眠りか脇見が原因かと
いやお月様に限って
あんなに優雅で上品な
お月様が落下事故を
起こされてしまうとは
竹林を両手で掻き分ける
(正しくは笹林なのだが
この際どちらでも良い)
とにかく両手で掻き分け
走る紅い振り袖の少女
かぐや姫(仮名)だ
ひと通り砂漠を越えて
月が落ちた砂浜まで来た
さすがに振り袖で海に潜る気にはならん
走る
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