かつていちどは人間だったもの/影山影司
ネアンデルタール人はホモサピエンスにブチ殺された。原因がなんだったかは知らないが、曰くネアンデルタール人は発声に不自由があったらしい。仲間同士の意思疎通に関して、ホモサピエンスの方が一歩秀でていた。連絡に欠陥のある部隊がどうなるか。わざわざ現代戦争を例に出さなくても分かるだろう。そしてさらに、誰が決めたか知らないが、ネアンデルタール人は心優しい生き物であったという。一方、我々ホモサピエンスは血を好んだ。
仲間のようで、どこか違う。そんな輩がいたら、ブチ殺すのに理由はいらないのかもしれない。
だが、ネアンデルタール人は、いや、地球上全ての生命は。
もともと一つの命から育まれた兄弟で
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