漂泊者に想うこと/beebee
 


萩原朔太郎の詩に 『 漂泊者の歌 』 があります。

少し長くなりますが、引用します。自分が詩を愛する理由の一つであると同時に、今、自分が詩を書いているアイデンティティの一つだと思っています。


漂泊者の歌   萩原朔太郎

日は断崖の上を登り
憂いは陸橋の下を低く歩めり。
無限に遠き空の彼方
続ける鉄路の柵の背後に
一つの寂しき影は漂ふ。

ああ汝 漂泊者!
過去より来たりて未来を過ぎ
久遠の郷愁を追ひ行くもの。
いかなれば愴爾(ソウジ)として
時計の如く憂ひ歩むぞ。
石もて蛇を殺すごとく
一つの輪廻を断絶し
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