遺跡の街/リーフレイン
 
 僕の街は遺跡だった。 「たった一つ遺跡がある」なんてちゃっちいもんじゃあない。有史以来一度の地震もハリケーンにもあっていない安定した谷間で、街全体が遺跡の上に遺跡が重ねられた複合遺跡だ。僕の家も200年前の家の壊れやすい部分を取り除いてその上に重ねられている。当時使っていた階層のうちの2階分は今も使用可能で、僕の部屋はひいおじいちゃんの時代には居間だった。さらに下にはまた数百年前の階層、さらに下にはさらに数百年前という具合に、様式も建材も雑多な構築物が複雑に絡み合い、高層であればあるほど価値が高いとされていた。もともとの地表は目に入らず、構築部同士を繋ぐ石の橋がいくつも点在している。狭い階段状に
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